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世界遺産、モン・サン・ミッシェルとその湾
フランスのノルマンディーの海に浮かぶ小さな島。8世紀、この島に大天使ミカエルが降臨し、修道士に聖堂を建てるように告げた。それ以来ここは聖なる山、”モン”と呼ばれている。大天使ミカエルはフランス語で、”サン・ミシェル”。やがて、この島に巨大な修道院が建てられ、聖地となった。それはまるで海に浮かぶ、天空の城のようであった。モン・サン・ミッシェルとその湾は、1979年に世界遺産に登録された。 |
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ノルマンディー地方独特の果てしない遠浅の海。タングと呼ばれる白っぽい粘土石灰質の美しい砂地がどこまでも続く。その干満差は12mにもなり、潮が満ちてくる速度は毎分100mである。モン・サン・ミッシェルは対岸の町アヴランシュから5kmも離れた花崗岩の山にある。満潮時には周囲は海に取り囲まれ、中世の巡礼者にとってはとても困難な旅だった。モン・サン・ミッシェルの中はまるで迷路のようになっていて、険しい坂道が旅人を大聖堂へと導く。唯一の入り口である前哨門をくぐり王の門を抜けると、大通り、グランド・リュがあり、道はサン・ピエール聖堂から修道院の入り口まで細く急な登り坂になっている。大聖堂の前には90段の大階段があり、それを登りきると、大聖堂の西側のテラスに出る。海抜80mのこの場所から見るノルマンディーの湾はとても美しく、その壮大な風景に心を打たれる。
修道院の中は複雑で不思議な建築美を形成していて、まるでラビリンスに迷い込んだようである。内部は聖堂の層、中層階、低層階に分かれていて、それぞれの層に様々な美しい部屋がある。大聖堂の身廊はノルマンディー地方のロマネスク様式の代表傑作で、その奥にある内陣には透かしの高窓があり、光と線を配慮したゴシック様式特有の美しい構造になっている。回廊の彫りの深い装飾は13世紀のノルマンディー派の特徴で、アーケードとなって中庭を取り囲んでいる。大聖堂の北側にある聖母30本ロウソク地下礼拝堂は大聖堂の翼廊を支える構造になっていて、そこに安置されている石のマリア像は13世紀のものである。中層階には騎士の部屋があり、装飾を施した柱頭のアーチ型の天井が印象的なゴシック様式で、ここは1469年に結成されたミカエル騎士団の部屋である。その隣には貴賓室があり、ほっそりとした優美な円柱が並び、かつてここで貴族階級の客を迎えたという。ノートル・ダム・スー・テール聖堂は10世紀に建てられた、モン・サン・ミッシェル最古の聖堂で、708年に聖オベールが岩盤を掘って造った小聖堂の上にある。この聖堂は1022年の修道院聖堂造営工事でしばらく埋もれてしまい、聖オベールの小聖堂が発見されたのは1960年になってからであった。
修道院のふもとにはモン・サン・ミッシェルの町が広がっている。グランド・リュの両側にはみやげ物やレストラン、ホテルが建ち並ぶ。店にはよく帆立の貝殻や杖の装飾があるが、これは中世の巡礼の象徴で、帆立の貝殻は平和を意味し、杖は希望を意味する。かつて修道士に導かれた巡礼者たちはこれを見ながら聖歌を歌って歩いたと言う。モン・サン・ミッシェルで一番の名物と言えば、巨大オムレツであるが、どこの店が美味しいかを知っている人は意外と少ないので紹介しておく。名物の美味しいふわふわのスフレのような巨大オムレツを食べられるのは、王の門の傍らにあるレストラン、テラス・プーラール。大きなフライパンでオムレツを作る様子も観光客の人気を集めている。この店の創始者であるプーラールおばさんは、19世紀に有名建築家のメイドとしてやって来た。やがてパン屋さんのお嫁さんになり、ホテル経営を始め、有名な巨大オムレツを生み出して巡礼者たちに出し、それが大評判になった。レストランの中は綺麗でかわいらしい装飾で、こんな店で美味しい巨大オムレツを食べたら、気分は最高である。メニューは色々あり、巨大オムレツにコーヒーとパンやオマール海老を付けたものまであるので、時間と予算に余裕があれば色々と試して見たい。ただし、お昼は混むので、早めにお店に入った方がいいかもしれない。世界遺産モン・サン・ミッシェルに着いて、いきなり名物の巨大オムレツを楽しむのも意外と悪くない。
モン・サン・ミッシェルは大天使ミカエルの修道院であるが、日本では仏教の神様しか知らない人が多いので、大天使ミカエルについて簡単に説明する。大天使ミカエルはキリスト教の三大天使の一人で、その中でも最も神に近い天使と言われる。三大天使とは、ミカエル、ガブリエル、ラファエルで、末尾に神を意味する”エル(el)”がつく。ガブリエルは”神の英雄”、ラファエルは”神は癒す”、ミカエルは”神はだれか”と言う意味がそれぞれにある。悪魔の化身であるドラゴンやサタンを退治したり、聖少女ジャンヌ・ダルクにフランスを救えとお告げを与えたことでも有名。ミカエルは神の使いとして天と地を往復すると信じられているため、モン・サン・ミッシェルを始めとして多くの聖堂が山の上にある。現在の地球はミカエルの守護年で、それは23世紀まで続くと言う。中世の歴史観では7人の天使による惑星の支配というものがあり、それぞれの惑星に属する天使が交代でその惑星の影響をもたらしながら、地球を守護すると考えられていた。順番に説明すると、ザフキエル(土星)、ザドキエル(木星)、カマエル(火星)、ミカエル(太陽)、アナエル(金星)、ラファエル(水星)、ガブリエル(月)。日本がミカエルと関わったのは意外と古く、紹介したのは歴史の教科書にも出てくるフランシスコ・ザビエルで、スペイン語のミゲルという名前で日本に伝えた。その影響で、北九州のキリシタン大名がローマとスペインに派遣した使節団の中には千々岩ミゲルという少年もいた。しかし、日本ではミゲルという呼び名より、やはり聖少女ジャンヌ・ダルクにフランスを救うように告げた天使としてのミカエルという名のほうが有名なのではないだろうか。百年戦争で、戦術も知らない少女がたった10日でオルレアンを解放し、国中から救国の天使と呼ばれるようになった。ジャンヌ・ダルクの旗に描かれた白百合はフランス王家の象徴でもあり、聖母マリアの花でもある。大天使ミカエルに捧げられたモン・サン・ミッシェル、それはまさに奇跡と感動の、フランスを代表する世界遺産と言える。
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